第1章 2話 転裁
2話 転裁~転生したら好きな彼女が裁量卒業していた件~

「おめでとうございます。あなたは転生する資格を得ました」
「え?」
すばるは目を開けた。
しかし、目の前には何もなかった。
声は彼の頭の中で聞こえていた。
「転生?何のことだ?」
すばるは声に尋ねた。
「あなたはこの世界での人生を終えました。あなたは新しい世界で新しい人生を始めることができます」
声は言った。
「この世界での人生を終えた?新しい世界?何を言ってるんだ?」
すばるは混乱した。いつのまにか周りは元いた部屋ではなく、霞と光が混じったもやの中にいるようだった。
「あなたは死んだのです。あなたはトレード中に過剰なストレスを受けて、心臓発作を起こして死亡しました。しかし、あなたは幸運なことに、転生するチャンスを得ました。あなたは自分の好きな世界に転生することができます」
声は説明した。
「死んだ?転生する?自分の好きな世界?」
すばるは信じられなかった。
「そんな……バカな……」
すばるは言った。
しかし、その時、彼の頭の中に色々な世界の情報が流れ込んできた。
それは彼が知っている本や漫画やアニメやゲームや映画などの作品の世界だった。
別の世界には、魔法や剣やドラゴンやエルフや獣人や天使や悪魔などのファンタジー要素が満ちていた。
それらの世界には、冒険や戦闘や恋愛や友情や裏切りや復讐などのドラマが展開されており、また彼が憧れていたヒロインやヒーローが存在していた。
「これらの世界から、あなたが好きなものを選んでください。あなたはその世界に転生し、その世界で新しい人生を始めることができます」
声は言った。
「これは……本当なのか?」
すばるは疑問に思った。
「本当です。あなたは今から転生することができます。ただし、一つだけ注意してください。あなたが転生する世界では、FXトレードをすることができません。FXトレードという概念は、あなたが今まで住んでいた現代社会にしか存在しないからです」
声は言った。
「FXトレードを……できない?」
すばるは驚いた。
彼にとってFXトレードは人生そのものだった。
トレードをすることで自分の存在意義を感じていたし、才能を発揮し自分の楽しみを見出していた。
彼にとってFXトレードをしない人生というのは考えられなかった。
しかし、声は続けて言った。
「転生者よ、聞きなさい。あなたは転生した世界で善行を積むことで、元の世界に戻ることができます。善行の数に応じて、元の世界に戻れる時間が与えられます。その時間を使って、元の世界でやり残したことをすればよいでしょう。しかし、戻れる時間が尽きれば、再び転生世界に戻らなければなりません。善行を幾度も幾度も積むことで、きっといつの日か元の世界に完全に戻れる時間を手にすることができるでしょう。これは神からの試練です」
すばるは目を閉じて、自分の心の中を見つめた。
彼は自分が今まで過ごしてきた人生を思い出した。
自分がFXトレードに夢中になって、他のことに興味を失っていったこと。
FXトレードで大金を稼いで、自分の才能や存在意義を感じていたこ。
そしてFXトレードで大きな損失を出して、自分の人生や未来に絶望したこと。
彼は自分がFXトレード以外に何も持っていなかったこと、自分が孤独だったことに気づいた。
しかし、自分が幸せではなかったとは思わなかった。
すばるはやはりFXトレードをしたくて仕方がなかったのだ。
「やっぱり……トレードしたいな……」
すばるはつぶやいた。
はじめすばるはこの世界での人生を捨てて、新しい世界での人生を始めることに不安を感じていた。
人と関わることが苦手な自分が、ラノベなどで読んだファンタジーの世界でうまくやれるかどうかわからなかった。
「そうか……」
ならば元の世界に戻ればいい!あの輝かしい栄光のあるFXがある世界へ!
すばるは決心した。
「善行をたくさんして、元の世界に帰ればまたトレードできる!」
彼は新しい世界での人生に挑戦することにした。
「じゃあ……行ってみようか」
すばるは声に出して言った。
「では、あなたの選択を教えてください。あなたが転生したい世界はどれですか?」
声は尋ねた。
「それはもちろん……」
すばるは答えた。
「ファンタジーなどではない!善行がすぐに積める現実世界とほとんど変わらない世界だ。」
「了解しました。では、あなたをその世界に送ります。ここで起こった出来事の記憶はなくなります。あなたの新しい人生をお楽しみください」
声は言った。
そして、すばるの意識は闇に包まれた。
彼はこの世界での人生に幕を下ろした。
そして新しい世界での人生に幕を開けた。
脳裏に単語が浮かんできてこう告げた。
「転裁~転生したら好きな彼女が裁量卒業していた件~」
これが、すばるの転生物語の始まりだった。